指先に針を刺さなくても、血糖値の動きを1日中記録できる。そんな機器が、糖尿病の診療で広く使われるようになりました。FreeStyleリブレです。

この記事では、リブレの仕組み・費用・注意点を、ふだんリブレを処方している糖尿病内科医の立場からまとめます。

FreeStyleリブレとは

FreeStyleリブレは、腕に貼ったセンサーで血糖値を測り続ける機器です。アボット社が販売していて、「持続血糖測定器」と呼ばれます。

上腕に貼ったリブレのセンサーと、直近8時間分の血糖の推移がセンサーに記録されることを示す図

出典:写真はアボットジャパン「FreeStyleリブレ」製品情報より

センサーの特徴

  • 二の腕の後ろ側に、500円玉より少し大きいセンサーを貼る
  • 貼るときに細い針で、皮膚の浅いところに電極を入れる。針そのものは残らない
  • 貼っている間に痛みを感じる方はほとんどいない。貼る瞬間も「思ったより痛くない」という声が多い
  • 1つのセンサーは2週間使える。使い捨てで、交換はご自身でできる
  • 貼ったままお風呂に入れる(1回30分まで)

二の腕の後ろ側にセンサーを貼り、装着用の器具を外しているところ

出典:アボットジャパン「FreeStyleリブレ2」製品情報

データの見方

センサーには、直近8時間分の血糖値が記録されます。それより古いデータは順に消えていきます。

データは、専用のリーダーかスマートフォンに移して保存します。こまめに移しておけば、8時間より前の記録も残ります。

リブレのセンサーと、現在のグルコース値と8時間分のグラフが表示されたスマートフォンのアプリ画面

出典:アボットジャパン「FreeStyleリブレ2」製品情報

リブレ2では、スマホが近く(およそ6m以内)にあれば、データが自動で送られます。かざす操作は要りません。通信が途切れたときは、スマホをセンサーにかざせば、直近8時間分をまとめて取り込めます。

腕に貼ったセンサーにスマートフォンをかざして、グルコース値を読み取っているところ

出典:アボットジャパン「FreeStyleリブレ2」製品情報

低血糖や高血糖になったときに、アラームを鳴らすこともできます。リーダーでもスマホでも使えます。

なぜ血糖値を「線」で見る必要があるのか

HbA1cだけでは、血糖値の上がり下がりが分からないからです。

HbA1cは、1〜2か月の血糖値の平均を表す検査値です。とても役に立ちますが、あくまで平均です。

同じHbA1cでも、血糖の変動が小さい人と大きい人がいることを示す図

同じHbA1cでも、1日中おだやかな方もいれば、低血糖と高血糖をくり返している方もいます。平均が同じなら、HbA1cは同じ値になります。そして、上下の激しい方のほうが危険は大きくなります。

指先で測る方法の限界

これまでの血糖測定は、指先に針を刺して血を1滴出し、その瞬間の値を測るものでした。

  • 1日4〜7回測る方もいて、毎回痛みがある
  • 針や測定用のチップを、いつも持ち歩く必要がある
  • 分かるのは測った瞬間の値だけ。食後のピークや、寝ている間の低血糖は見逃しやすい

面倒さや痛みから測るのをやめてしまい、治療がうまく進まない方も少なくありませんでした。

持続血糖測定器でできること

指先の測定は点、持続血糖測定は線で血糖値を捉えることを比べた図

持続血糖測定器なら、血糖値を点ではなく線で見られます。

  • どの時間帯に低血糖を起こしやすいか
  • どんな食事で、どこまで上がるか

こうしたことが分かると、主治医もどの薬を調整すればよいか判断しやすくなります。データは格段に増えるのに、痛みはほとんどなくなります。

受診のときはどうなるか

リブレに切り替えると、血糖値をノートに書き写す必要がなくなります。

受診のとき、スマホなら持参するものはなく、リーダーなら受付で預けてレポートを出力することを示す図

  • スマホで使っている場合
    • 持っていくものはありません。データはアプリから自動でクラウドに送られ、病院でいつでも確認できます
  • リーダーで使っている場合
    • 受付でリーダーを預けます。スタッフがパソコンにつないで、前回からの血糖の記録を出力します。診察ではその記録を見ながら話をします

リーダーをかざして出た数字を、ノートに書き写してくる方がいます。でも、その必要はありません。出力した記録を見れば、ピークも谷も分かるからです。

なお、スマホで使っていても、病院が毎日データを見ているわけではありません。確認するのは基本的に受診のときです。気になる症状があるときは、受診して相談してください。

リーダーとスマホ、どちらを選ぶか

スマホを使い慣れているなら、スマホがおすすめです。

読み取り方・持ち物・受診時の扱いについて、スマートフォンと専用リーダーを比べた図

リーダーを選ぶ理由は、主に2つです。

  • スマホの操作に慣れていない
  • 通っている医療機関が、リーダーにしか対応していない

医療機関によっては、患者さんのデータがネット上で共有されることを避けるため、リーダーだけを扱っているところがあります。

リーダーとスマホを両方使うこともできます。ただ、スマホで使えるなら、併用する利点はほとんどありません。

保険適応になるのは誰か

1日1回以上インスリン注射をしている方は、保険でリブレを使えます。

インスリン注射をしている方は保険で使え、飲み薬だけやGLP-1受容体作動薬だけの方は自費になることを示す図

以前は1日4回ほどインスリンを打つ方だけが対象でした。今はかなり広がっています。

ただし、糖尿病の注射薬がすべてインスリンとは限りません。GLP-1受容体作動薬など、インスリン以外の注射薬だけを使っている方は、保険の対象外です。

費用:保険で使う場合

指先での測定からリブレに切り替えると、自己負担は3割負担で月240〜2,700円ほど増えます。

増える額は、いまの測定回数で決まります。測る回数が多い方ほど差は小さく、月120回以上測っていた方はむしろ安くなります。

現在の測定回数 現在の点数 リブレの点数 差額 3割負担 2割負担 1割負担
月20回以上 350点 1,250点 +9,000円 +2,700円 +1,800円 +900円
月30回以上 465点 1,250点 +7,850円 +2,355円 +1,570円 +785円
月40回以上 580点 1,250点 +6,700円 +2,010円 +1,340円 +670円
月60回以上 830点 1,250点 +4,200円 +1,260円 +840円 +420円
月90回以上 1,170点 1,250点 +800円 +240円 +160円 +80円
月120回以上 1,490点 1,250点 -2,400円 -720円 -480円 -240円

月90回以上と月120回以上の区分は、1型糖尿病の方と、膵臓をすべて摘出した方が対象です。2型糖尿病の方は、月60回以上までの区分になります。

たとえば月60回以上測っていた方なら、3割負担で月1,260円の増加です。そのかわり、指先に針を刺す回数がほとんどなくなり、1日の血糖の動きが見えるようになります。私は、十分に割に合う選択だと考えています。

医療者の方へ:算定の内訳

注射薬を使う患者さんに血糖測定器を処方するときは、在宅自己注射指導管理料に血糖自己測定器加算が加わります。費用の差に関わるのは後者だけです。

血糖自己測定器加算には、指先測定の月20回以上〜月120回以上の区分とは別に、「間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの 1,250点」があります。リブレはこれに当たります。切り替えによる差は、点数の差額×10円に負担割合を掛けた額です。

保険が使えない場合の2つの方法

インスリンを使っていない方も、リブレを使う方法が2つあります。

方法 受け取り方 費用の目安
選定療養 受診の際に医療機関から 12,500円(国の標準額)
自分で購入する 薬局で センサー1個 約8,000円

選定療養

保険の条件に当てはまらない方が、医療機関を通じてリブレを使える制度です。2024年7月に始まりました。

費用は全額自己負担です。国が示した標準額は12,500円です。「センサー1枚7,000円」のように、枚数ごとに値段を決めている医療機関もあります。

実施している医療機関の一覧は公開されていません。ただ、実施する医療機関は院内とウェブサイトで知らせることになっています。かかりつけのウェブサイトを見るか、窓口で尋ねてみてください。

自分で購入する

処方箋を扱う薬局で買える場合があります。かかりつけの薬局や近くの薬局に問い合わせてみてください。医療機関が選定療養に対応していなくても使えます。

  • センサー:1個約8,000円(2週間分)
  • リーダー:1台8,000円台。最初に1回買えば済む。スマホで使うなら不要

ずっと使い続ける必要はありません。半年に一度、2週間だけ試すといった使い方もできます。

どちらの方法でも、診察で一緒に見られます

自費で測ったデータも、受診のときに持ってきていただければ一緒に確認できます。

血糖値の動きを一度見ておいたほうがよい方には、私からも試すことを勧めています。「この食べ方でここまで上がるのか」と自分の目で確かめるだけでも、食事を見直すきっかけになります。

注意点4つ

リブレには、知っておいてほしい注意点が4つあります。

リブレの注意点4つ(保険では月2個まで、指先の値とのずれ、MRIの前は外す、ペースメーカー)をまとめた図

1 保険では月2個までが基本

保険で処方されるセンサーは、1か月に2個までが基本です。

理由は医療機関の採算です。保険で算定できるのは月12,500円です。一方、センサーの公式価格は1個6,800円ほどです(2024年2月のリブレ2発売時の発表)。3個出すと、医療機関の持ち出しになります。

2個では28日分にしかならないので、毎日使うと足りない日が出ます。その間は、指先で測るか、状態が安定していれば測らずに過ごします。

2個より多く出してくれる医療機関もありますが、当たり前ではありません。

2 指先で測る値とはずれる

リブレの値は、指先で測った値と数十mg/dLずれることがあります。

リブレが測っているのは、血液ではなく、皮膚の下の間質液に含まれるブドウ糖だからです。

  • 値のずれ:同じセンサーを使っている間、ずっと高め・低めに出続けることがある
  • 時間のずれ:血糖値の変化より、5〜10分ほど遅れて反映される

とくに注意してほしいのは、リブレで低い値が出たときです。

低血糖の症状があれば、すぐにブドウ糖をとってください。症状がなければ、一度指先で測ってみてください。リブレでは70でも、指先では100以上ということは珍しくありません。

そのため、リブレを使っていても、指先で測れる器具は手元に置いておきましょう。リーダーを使っている方は、専用の電極(フリースタイルプレシジョン)を差せば、リーダーで指先の測定もできます。

3 MRIの前は外す

MRI検査の前は、センサーを外す必要があります。一度外したセンサーは、貼り直せません。

  • MRI:外します。強い磁気の影響が確かめられていないためです
  • X線(レントゲン)・CT:付けたまま受けられます。2026年7月の添付文書の改訂で、外す必要がなくなりました

X線やCTでは、撮る場所によってセンサーが画像に写り込むことがあります。改訂前の説明書が入った製品もしばらく出回るので、検査を受ける施設の指示に従ってください。

MRIの予定があるときは、センサーの交換のタイミングを考えておくと、1個むだにせずに済みます。

4 ペースメーカーを使っている方は使えない

不整脈などで心臓ペースメーカーを入れている方は、リブレを使えません。

困ったときの対処法

センサーが動かないとき

まれに、うまく動かないセンサーがあります。メーカーが交換に応じてくれることが多いので、アボット社のカスタマーサポートに連絡してください。

かぶれる・はがすときに皮膚が傷つくとき

リブレは強いテープで固定されているため、皮膚の弱い方は困ることがあります。あきらめる前に、次のものを試してみてください。

  • かぶれやすい方:貼る前に皮膚皮膜剤を塗る
  • はがすのが怖い方:剥離剤を使う

私がよく勧めているのは、どちらも3Mのキャビロンです。

貼る前に塗る:キャビロン 非アルコール性皮膜

3Mのキャビロン 非アルコール性皮膜。スプレー、スティック、ワイプの各タイプ

出典:ソルベンタム「3M キャビロン 非アルコール性皮膜」製品情報

はがすときに使う:キャビロン 皮膚用リムーバー

3Mのキャビロン 皮膚用リムーバーのワイプタイプ。個包装の袋と中のシート

出典:スリーエム ジャパン「3M キャビロン 皮膚用リムーバー ワイプ」製品資料

まとめ

  • リブレは、血糖値を点ではなく線で見られる機器です。指先に針を刺す回数がほとんどなくなります
  • 1日1回以上インスリンを使っていれば保険で使えます。切り替えによる負担の増加は、3割負担で月240〜2,700円ほどです
  • インスリンを使っていない方も、選定療養か自費で使えます
  • 指先の値とずれること、月2個までが基本であること、MRIの前は外す必要があることは覚えておきましょう

リブレを扱っているかどうかは、医療機関によって違います。インスリンを使っていて試したい方は、かかりつけの医療機関に。自費で試したい方は、近くの薬局に問い合わせてみてください。

この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。診療報酬は改定によって変わります。