電解質 計算ツール
血液と随時尿の値を入れると、計算できる指標をすべて出します。足りない値があるものは「—」と、必要な項目を表示します。
ナトリウム・水
- FENa
- —%
- 必要:Na・Cr・尿Na・尿Cr乏尿時に 1% 未満は腎前性、3% 超は急性尿細管壊死(Espinel 1976)
- 計算浸透圧
- —mOsm/kg
- 必要:Na・血糖・BUN
- 有効浸透圧
- —mOsm/kg
- 必要:Na・血糖高浸透圧高血糖状態の評価に用いる(日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024)
- 補正Na(Katz)
- —mmol/L
- 必要:Na・血糖
- 補正Na(Hillier)
- —mmol/L
- 必要:Na・血糖血糖 400 mg/dL を超えると係数 4.0 のほうが合う(Hillier 1999)
カリウム
- FEK
- —%
- 必要:K・Cr・尿K・尿Cr
- 尿K/Cr
- —mmol/g Cr
- 必要:尿K・尿Cr
カルシウム
- 補正Ca
- —mg/dL
- 必要:Ca・Albイオン化Ca との一致は悪い。可能ならイオン化Ca で確認する
- 尿Ca/Cr
- —mg/mg
- 必要:尿Ca・尿Cr
- FECa
- —%
- 必要:Ca・Cr・尿Ca・尿Cr
- Ca/Cr クリアランス比
- —
- 必要:Ca・Cr・尿Ca・尿Cr0.01 未満は FHH 寄り、0.02 超は原発性副甲状腺機能亢進症寄り。0.01〜0.02 は両者が重なる(第5回国際ワークショップ 2022。24時間尿で検証)
リン・マグネシウム
- %TRP
- —%
- 必要:P・Cr・尿P・尿Cr日本の診断基準に %TRP の閾値はない
- TmP/GFR
- —mg/dL
- 必要:P・Cr・尿P・尿Cr成人基準値 2.3〜4.3 mg/dL(くる病・骨軟化症の診断マニュアル 2015)。早朝空腹時の第2尿で
- FEP
- —%
- 必要:P・Cr・尿P・尿Cr
- FEMg
- —%
- 必要:Mg・Cr・尿Mg・尿Cr低Mg血症で 4% 超は腎性喪失(Elisaf 1997)
酸塩基
- アニオンギャップ
- —mmol/L
- 必要:Na・Cl・HCO₃⁻基準値は測定装置で異なる(イオン選択電極では 3〜11、Winter 1990)
- 補正アニオンギャップ
- —mmol/L
- 必要:Na・Cl・HCO₃⁻・AlbAlb の低下分を補正(Figge 1998)
- 尿アニオンギャップ
- —mmol/L
- 必要:尿Na・尿K・尿Cl正常AG性アシドーシスで、負は消化管からの喪失、正は遠位尿細管の酸排泄障害(Batlle 1988)
腎機能
- eGFR(Cr)
- —mL/分/1.73m²
- 必要:Cr・年齢18歳以上、酵素法の Cr で(Matsuo 2009)
- eGFR(シスタチンC)
- —mL/分/1.73m²
- 必要:シスタチンC・年齢eGFR(Cr)に懸念があるとき、参考にして総合的に判断する(CKD診療ガイドライン2023)
- eGFR(Cr とシスタチンC の平均)
- —mL/分/1.73m²
- 必要:Cr・シスタチンC・年齢必須ではない参考値
計算式と要点・出典・このツールについて
計算式と要点
ナトリウム・水
- FENa
- (尿Na × 血清Cr)÷(血清Na × 尿Cr)× 100利尿薬を使っていなければ、一過性と持続性の急性腎障害を感度78%・特異度75%で区別できる。利尿薬の使用中は区別できない(Pépin 2007)。
- 計算浸透圧
- 2 × Na + 血糖 ÷ 18 + BUN ÷ 2.8尿素は細胞膜を自由に通るので、水の移動には効かない。高浸透圧高血糖状態の評価には、BUN を含めない有効浸透圧を用いる。
- 有効浸透圧
- 2 × Na + 血糖 ÷ 18日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024は「有効浸透圧は2×血清Na(mEq/L)+血糖(mg/dL)/18」としている。
- 補正Na(Katz)
- Na + 1.6 ×(血糖 − 100)÷ 100浸透圧の理論から導いた係数で、古くから広く使われる。ADA 2009 と ISPAD 2022(小児)はこの 1.6 を用いる。
- 補正Na(Hillier)
- Na + 2.4 ×(血糖 − 100)÷ 100健常者6人に高血糖を作って実測した平均。血糖 400 mg/dL までは 1.6 でもよく合い、それを超えると 1.6 では補正が足りず、脱水(高Na血症)を見逃しやすい。英国 JBDS の HHS ガイドライン 2022 は 2.4 を用いる。2024年の国際コンセンサスと日本糖尿病学会のガイドライン2024 は補正式を示していない。慢性の高血糖や腎機能低下では検証されていない。
カリウム
- FEK
- (尿K × 血清Cr)÷(血清K × 尿Cr)× 100GFR が下がると高くなる。一次資料で確かめられた判定の目安はなく、尿K/Cr とあわせて見る。
- 尿K/Cr
- 尿K ÷ 尿Cr × 100低K性周期性四肢麻痺(細胞内移行)では低く、K 欠乏との区別に有用(Lin 2004)。TTKG は考案者自身が前提の誤りを認めて使わなくなった(Kamel 2011)。随時尿なので尿量・時刻の影響を受ける。
カルシウム
- 補正Ca
- Ca +(4 − Alb)、Alb 4.0 未満のときPayne の原著(1973)と日本透析医学会の式は係数 1.0。米国の K/DOQI は 0.8 を用いる(Alb 1 g/dL あたり 0.8 mg/dL)。どちらの式でも、イオン化Ca との一致はよくない:約2万3千検体で正しく分類できた割合は、補正Ca 63%、補正しない総Ca 75%(Desgagnés 2025)。低Alb・腎機能低下・高齢で特にずれる。改良BCP法の Alb では補正Ca が高めに出る。低Ca血症の評価には向かない(日本透析医学会 CKD-MBD 診療ガイドライン2025)。
- 尿Ca/Cr
- 尿Ca ÷ 尿Cr随時尿で手軽に見られる。24時間尿Ca との相関は r=0.59 で、特に女性で精度が落ちる(Berr 2026)。食事・採尿の時刻・筋肉量の影響を受ける。副甲状腺機能低下症に活性型ビタミンD を使うときは、0.3 未満を目安に尿Ca 排泄をなるべく低く保つ用量がよいとする国内の解説がある(中山 耕之介、Web医事新報)。国際ガイドライン(Khan 2022、欧州内分泌学会 2025)は随時尿の目標値を示さず、24時間尿Ca(女性 250 mg 未満・男性 300 mg 未満)で管理する。XLH の小児では年齢別の正常上限内に保つ(7歳以上で約 0.25 mg/mg、Haffner 2019)。
- FECa
- (尿Ca × 血清Cr)÷(血清Ca × 尿Cr)× 100Ca/Cr クリアランス比を % で表したもの。
- Ca/Cr クリアランス比
- FECa ÷ 100FHH と原発性副甲状腺機能亢進症の区別で AUC 0.92(Christensen 2008)。FHH の 70〜80% が 0.01 未満だが、原発性副甲状腺機能亢進症の最大20%も 0.01 未満になる(第5回国際ワークショップ 2022)。遺伝子検査は FHH を考えるときに適応がある(同)。
リン・マグネシウム
- %TRP
- 100 − FEP血清P の値に左右されるため、腎のリン再吸収の評価には TmP/GFR のほうが妥当。
- TmP/GFR
- TRP ≦ 0.86:TRP × P/超えるとき:0.3 × TRP ÷(1 − 0.8 × TRP)× PWalton と Bijvoet のノモグラムを式にしたもの(Payne 1998)。小児は年齢別の基準値がある。日本の FGF23 関連低リン血症の診断基準は FGF23 30 pg/mL 以上を用い、TmP/GFR の閾値は定めていない。
- FEP
- (尿P × 血清Cr)÷(血清P × 尿Cr)× 100100 − %TRP。
- FEMg
- (尿Mg × 血清Cr)÷(0.7 × 血清Mg × 尿Cr)× 1000.7 は血清Mg のうち糸球体で濾過される割合。腎性喪失では平均15%、腎外性では1.4%(Elisaf 1997、単一施設)。
酸塩基
- アニオンギャップ
- Na −(Cl + HCO₃⁻)施設の測定系で基準値が違うので、自施設の基準と比べる。
- 補正アニオンギャップ
- AG + 2.5 ×(4 − Alb)低Alb では AG が見かけ上小さくなる。ショックの小児で、隠れた陰イオンの検出は AG 48%、補正AG 87%(Hatherill 2002)。
- 尿アニオンギャップ
- 尿Na + 尿K − 尿Cl尿中のアンモニウム排泄の間接的な目安。
腎機能
- eGFR(Cr)
- 194 × Cr^−1.094 × 年齢^−0.287(女性 × 0.739)日常診療の基本(CKD診療ガイドライン2023)。筋肉量の影響を受ける。
- eGFR(シスタチンC)
- (104 × シスタチンC^−1.019 × 0.996^年齢〔女性 × 0.929〕)− 8筋肉量の影響を受けにくい。甲状腺機能・喫煙・炎症・脂肪量・妊娠・免疫抑制薬の影響を受け、CKD G5 では 5〜6 mg/L 程度で頭打ちになることが多い(CKD診療ガイドライン2023)。
- eGFR(Cr とシスタチンC の平均)
- (eGFR(Cr)+ eGFR(シスタチンC))÷ 2実測GFR±30%に入る割合は Cr 75%・シスタチンC 78%・平均 82%(CKD診療ガイドライン2023)。KDIGO 2024 は平均ではなく、Cr とシスタチンC を組み合わせた式を勧めている。
注意
- 補正Ca:Payne の式は BCG 法の時代の式です。改良BCP法で測った Alb では補正Ca が高めに出ます。低Ca血症の評価には向かないため、可能ならイオン化Ca で確認してください(日本透析医学会 CKD-MBD 診療ガイドライン 2025)
- 日本の FGF23 関連低リン血症の診断基準は、FGF23 30 pg/mL 以上を用います。%TRP・TmP/GFR の閾値は定めていません
- Na・K・Cl・HCO₃⁻ は mmol/L で表示しています。1価のイオンなので、mEq/L で報告された値をそのまま入れて構いません
- 目安や要点は、一次資料(原著・ガイドライン)で確かめたものだけを載せています
出典
- Payne RB, et al. Br Med J 1973;4:643-646. doi:10.1136/bmj.4.5893.643
- 日本透析医学会. 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン. 透析会誌 2012;45:301-356/2025年改訂版
- Bilezikian JP, et al. J Bone Miner Res 2022;37:2293-2314. doi:10.1002/jbmr.4677
- 日本骨代謝学会. くる病・骨軟化症の診断マニュアル 2015. PDF/Fukumoto S, et al. Endocr J 2015;62:665-671. doi:10.1507/endocrj.EJ15-0289
- Payne RB. Ann Clin Biochem 1998;35:201-206. doi:10.1177/000456329803500203
- Espinel CH. JAMA 1976;236:579-581. doi:10.1001/jama.236.6.579
- 中山耕之介. 副甲状腺機能低下症[私の治療]. Web医事新報. 記事/Khan AA, et al. J Bone Miner Res 2022;37:2568-2585. doi:10.1002/jbmr.4691/Haffner D, et al. Nat Rev Nephrol 2019;15:435-455. doi:10.1038/s41581-019-0152-5
- Pépin MN, et al. Am J Kidney Dis 2007;50:566-573. doi:10.1053/j.ajkd.2007.07.001
- Desgagnés N, et al. JAMA Netw Open 2025;8:e2455251. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.55251
- Christensen SE, et al. Clin Endocrinol 2008;69:713-720. doi:10.1111/j.1365-2265.2008.03259.x
- Kitabchi AE, et al. Diabetes Care 2009;32:1335-1343. doi:10.2337/dc09-9032/Glaser N, et al. Pediatr Diabetes 2022;23:835-856. doi:10.1111/pedi.13406/Mustafa OG, et al.(JBDS HHS)Diabet Med 2023;40:e15005. doi:10.1111/dme.15005/Umpierrez GE, et al. Diabetes Care 2024;47:1257-1275. doi:10.2337/dci24-0032
- Katz MA. N Engl J Med 1973;289:843-844. doi:10.1056/NEJM197310182891607/Hillier TA, et al. Am J Med 1999;106:399-403. doi:10.1016/S0002-9343(99)00055-8
- Lin SH, et al. Arch Intern Med 2004;164:1561-1566. doi:10.1001/archinte.164.14.1561
- Elisaf M, et al. Magnes Res 1997;10:315-320(PMID 9513927)
- Winter SD, et al. Arch Intern Med 1990;150:311-313. doi:10.1001/archinte.1990.00390140057012/Figge J, et al. Crit Care Med 1998;26:1807-1810. doi:10.1097/00003246-199811000-00019
- Batlle DC, et al. N Engl J Med 1988;318:594-599. doi:10.1056/NEJM198803103181002
- Horio M, et al. Am J Kidney Dis 2013;61:197-203. doi:10.1053/j.ajkd.2012.07.007
- 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 第1章
- Matsuo S, et al. Am J Kidney Dis 2009;53:982-992. doi:10.1053/j.ajkd.2008.12.034
このツールについて
- 医療従事者向けのツールです。計算結果は目安で、判断は検体の条件(随時尿か蓄尿か、利尿薬の使用など)を含めて医師が行います
- 排泄率(FE)は、同じ時刻に採った血液と随時尿の値で計算します
- 入力した内容はブラウザの中だけで計算され、送信も保存もされません
